環境技術
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活性汚泥法の浄化機能に及ぼす水温の影響に関する動力学的研究
―一次型動力学式による連続実験の水温影響解析―
橋本 奨鳥山 明夫
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1988 年 17 巻 9 号 p. 601-606

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抄録

活性汚泥法の浄化機能を数学的, 動力学的に解析し, それをもとにした合理的な設計, 運転操作のための動力学式が, これまで多くの研究者により提唱されている.しかし, この動力学式に及ぼす環境因子の影響についてはまだまだ十分研究されてきたとはいえず, 水温の影響もその大きな因子の一つである.
そこで, 水温10~40℃で活性汚泥法の連続実験を行い, 一次型動力学式パラメータに及ぼす水温の影響について解析し, 次の結論を得た.
ts (活性汚泥の平均滞留時間) が2~10日では, 各動力学式パラメータに及ぼす水温の影響は非常に小さかった。
tsが0.125~1日では, 次のようになった.水温が20~40℃において, 基質除去速度定数についての水温の影響の大きさを示すアレニウス式の活性化エネルギーの値は9, 860ca1/molであり, また, 自己分解速度係数についての活性化エネルギーの値は7, 530cal/molとなり, 水温の影響は比較的大きかった.しかし, 収率係数の値はほぼ同程度の値で, 水温の影響は小さかった.水温が10℃においては, tsが短くなるにつれパラメータ値が変化し, 水温の影響は大きいと考えられた.

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