1989 年 18 巻 7 号 p. 406-413
1988年3月24日~4月10日の期間, 柏の枯葉より抽出した有機水を全長1kmの道路に合計72トン散布した.散布後, 散布区と非散布区の道路粉塵を供試し, 試料中の重油分を赤外法, 紫外法, 色度法により定量した.これと併せて, バッチ法により試料の重油分 (流動パラフィン) 除去量を赤外吸収ピークの初濃度に対する消失割合から求めた.
道路粉塵中の重油分濃度は, 各定量法とも非散布区に比べ散布区で低下し, 両区間差は105μ以下画分で顕著であった.また, 試料の重油分除去率は, 粒径の小さいほど高くなり, これを最小粒径 (<40μ) でみると, 車粉に特徴的な2920cm-1付近における吸収ピークの消失率は, 非散布区 (12.2%) に比べ散布区 (27.4%) で約2倍上昇した.以上のことから, 有機水の道路散布は, 道路粉塵中重油分の消失除去に効果のあることが確認された.