環境技術
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懸濁粒子化した糞便性大腸菌群の粒子サイズ別塩素消毒効果
中村 宗一郎城田 久岳
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1989 年 18 巻 7 号 p. 414-417

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抄録

下水の活性汚泥処理によって懸濁粒子化した最終沈澱池からの流出水中の糞便性大腸菌群の塩素による不活性化について, 粒子サイズ別に100-200, 10-100μmおよび<10μmに調製した分画液を用いて検討し, 次のことを明らかにした.
1) 最終沈澱池からの流出水において, 懸濁粒子状態の細菌細胞を含む100-200および10-100μmの分画液から750MPN/mlおよび1, 100MPN/ml, 浮遊状態の細菌細胞も含む<10μmのものから9, 800MPN/mlの糞便性大腸菌群が検出された.
2) 各分画液に次亜塩素酸ナトリウムを曝露すると, より大きな分画液になるほど塩素の効果は緩慢で, 懸濁粒子の物理化学的な保護作用に起因すると考えられる不活性化効果の低下が現れた.
3) またより大きな分画液になるほど, 供試液中に損傷菌状態の糞便性大腸菌群を多く出現させた.
4) 各分画液中における紫外部吸光物質量は, 塩素注入率に比例して増加する傾向が見られた.

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