環境技術
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中間塩素注入制御の最適化について
柳生 眞喜男内田 力雄
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1990 年 19 巻 3 号 p. 194-197

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抄録

琵琶湖においては, 近年, 植物性プランクトンの異常増殖によるかび臭が発生しており, 流域の上水道事業体は, 昭和56年以降毎年かび臭被害を受けている.
藍藻類が発生するかび臭物質の存在状態は, 水中に溶解しているものだけでなく, 藍藻類の藻体内に含まれているものもある.このため, より効果的なかび臭対策について調査検討した結果, 溶解性のかび臭物質は活性炭注入により吸着除去する一方, 藻体内のものについては藻体ごと凝集沈でん除去する方法が効果的であることが判明した.
大阪市では, 従来から行なっている粉末活性炭の注入に加え, 藻体内に含まれるかび臭物質の除去を目的とした中間塩素注入設備を, 昭和61年から順次浄水系統毎に導入している.
中間塩素注入制御は, 塩素注入後の残留塩素を計測して注入率を修正する自動制御方式を採用しているが, スラッジ処理水の返送等, 水質変動による塩素注入制御の外乱が非常に大きく, また, 塩素注入から残留塩素計測までのむだ時間が大きいという, フィードバック制御を行う上で困難な問題があった.そこで, 制御装置のプログラムを工夫するとともに, 残留塩素計を現場設置することなどにより, 上記の問題点を解決し, 中間塩素注入の自動制御を実現した。

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