抄録
著者等は, 上下水プラントの運転管理においてオペレータの機能を代替・支援する要素技術一知識工学, ファジィ, 画像処理など―の応用によりAI (Artificial Intelligrnce) 技術の導入を指向してきた.本報告では, ニューラルネットの導入により従来のAIを拡張し, これまで実現困難であった運転履歴の学習に基づくプラントの運転支援方法を提案する.
ニューラルネットは, 神経細胞 (ニューロン) 間の結合強度という形式で各種のパターンを学習し, それを想起することが可能である.そこで, 上下水プラントの「運転履歴をパターンとして学習させる」という発想に基づき, オペレータと同等な「前例に基づく運転」をガイダンスする方法を提案する.
今回は, 一適用例として浄水場での熟練オペレータによる凝集剤注入の履歴をニューラルネットに学習させた場合の有効性を明らかにした.従来の知識工学 (含ファジィ) システムでは, 知識ベースの質と量によりガイダンス能力が規定され, 知識の獲得に多大な労力を要していた.ここで提案するシステムは, プラントの履歴を学習 (知識を自動獲得) しながらガイダンス内容が「自己成長」する機能を有する.さらに, 学習済みニューラルネットに蓄積された分散型知識を明示的に表現する手法について報告する.