貯水池内の3次元的流速分布を計測することは, 一般に種々の困難が伴う.比較的機器計測が容易な温度分布のデータをもとにして数値計算で流速分布が推定できれば貯水池の環境管理上の意義は大きい.本研究ではこの手法の効果を理論的に確認するたあ2種類の計算を行った.まず非定常密度流の計算機シミュレーションを行い, 流速水温の時系列データを確保する.次に水温分布のみから定常流近似計算で流速を計算する.その結果を先に求めた非定常計算結果の流速と比較し再現性を調べた.
数値モデルは, Navier-Stokes方程式の, Boussinesq近似をPatanker法により離散化したものを用いた.流入開始後8時間程で流速分布はほぼ安定化し, 温度分布より求あられた流速ともよい一致が得られた.