1999 年 28 巻 7 号 p. 491-502
近年, 閉鎖性水域や水道水源の水質悪化が問題化しており, 新たな高効率の廃水処理システムが求められている.本研究の目的は, し尿高度処理において, 難分解性有機物除去に関するオゾン・生物処理プロセスの適用性を調査することである.実し尿2次処理水を対象とした連続実験により, 従来プロセスに比べ以下の諸点において優れていることが明らかになった.
(1) 難分解性有機物 (CODで代表) 除去率は90%以上となり, その結果, 目標処理水質CODMn20mg/lの達成が可能であった.これは従来のオゾン単独処理に比べ格段に優れている.
(2) 有機物のなかでもトリハロメタン前駆物質 (THMFP) が選択的に除去されることが示唆された.
(3)灘分解性有機物は, オゾンにより直接的酸化, および, オゾンにより生物易分解性化された後, 生物活性炭 (BAC) で生分解除去される.処理効率向上のためには, 生物処理流出水を循環する必要があり, オゾン注入率および循環比が, プロセス運転の際の重要な因子となることがわかった.
(4) 従来の活性炭吸着法に比べ, 本プロセスの運転コストが低減されることが認められた.