抄録
1998年6月から9月まで, タイ北部 (チェンマイ地区, ランポーン地区, メモ地区およびランパン地区) で, 自作のBulk samplerとWet only sampler (堀場分割採取器) によって降水を採取した.その結果, Bulk samplerで捕集した降水のpHの平均値は6.30, 電気伝導度 (EC) は20.3μS/cmであった.アニオンの含有率ではSO42-が高く40~60%で, カチオンではCa2+であった.pHを目的変数として重回帰分析を実施すると, 従変数としてK+, Mg2+およびSO42-で重相関係数: 0.8の回帰式が得られた.また, 石炭火力発電所があるメモ地区のデータは残りの地区のデータよりもpHが低く, イオン濃度が高かった.これに対して, Wet only samplerで捕集した降水 (1mm分割) pHの平均値は6.24, ECは17.1μS/cmでBulk samplerで捕集した値と大きな差は認められなかった.さらに, 1992年10月に大気汚染事故が発生したSob Pad村で8月17日にpHは中性ながら, EC-300μS/cmの雨が観測され, SO42-濃度は2083μEq/lおよびCa2+濃度が1863μEq/lで排ガス処理の何らかの事故の発生が疑われた.同方法で, 測定した四日市におけるpHは4.88 (Bulk sampler) および4.34 (Wet only sampler: 1mm分割) , ECが37.0μS/cm (Bulk sampler) と77.3μS/cm (Wet only sampler) で, タイ北部の降水のpHは中性であり, ECも四日市より低かった.さらに, イオン組成をみると, 捕集法の如何によらず, タイ北部では四日市よりもアニオンではSO42-の含有率が高く, NO3-の含有率が低く, カチオンではCa2+含有率が高かった.