本研究では, 炭水化物, タンパク質などを含む複合基質の連続的水素発酵特性を検討するため, TS10%の高濃度ドッグフードを基質としてpH6.5, 温度35℃の条件で混合細菌群を用いた水素発酵の連続実験を行った.その結果, HRT6.4~34.5時間の範囲において101日間にわたり安定的で連続的な水素発生が見られた.反応槽あたりの最大水素ガス発生速度はHRT12.8時間で得られ, 1.18l/l/dであった.一方, 連続実験より得られた最大水素収率はHRT34.5時間で0.24 mol-H2/mol-glucoseとなり, 回分実験の収率を大きく下回った.また, 炭水化物の分解率が高く, タンパク質はほとんど分解されなかったことから, 炭水化物が水素の発生に寄与したと考えられた.そして, 水素発酵条件における酸生成率はHRTが長くなると増加しHRT34.5時間で約40%であり, 酸生成の主な代謝産物は酢酸と酪酸であったが, プロピオン酸とエタノールの生成も見られた.水素収率と酸生成率の結果よりドッグフードのような複合基質では, 水素生成と酸生成ためHRTは長くする必要があり, 本研究では34.5時間が最適であった.