脳科学とリハビリテーション
Online ISSN : 2432-3489
Print ISSN : 1349-0044
総説
恐怖記憶の獲得から再発阻害まで : 時間, 回数, 時期
松田 真悟
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2013 年 13 巻 p. 41-47

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抄録

恐怖記憶の研究は心的外傷後ストレス障害(PTSD)や強迫性障害など恐怖記憶と関連の深い精神疾患の治療の発展に寄与する可能性が高いことから, 動物実験の結果をヒトへと応用するトランスレーショナルリサーチも盛んに行われている. ここ10年間での研究の発展は目覚ましく, 恐怖記憶の形成, 恐怖記憶の消去, 恐怖記憶の再発機構が明らかになりつつある. どうやら, 記憶は時間依存的に安定性を変化させ, 想起されることでその安定性が再び可塑性を持つようだ. そこで, 本稿では恐怖記憶の形成過程について“時間”に焦点を置いて解説し, さらに, 恐怖の消去及び消去後の再発に関する最近の研究について紹介する.

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© 2013 脳機能とリハビリテーション研究会
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