抄録
エダラボンは、ラジカルスカベンジャーとして、急性脳梗塞の治療などに臨床的に使用されている。今回の実験では、エダラボンの放射線防護剤としての効果をin vitroで研究した。放射線によって高頻度にアポトーシスを誘導することが知られている培養細胞MOLT-4を用いてエダラボンの放射線防護効果を検討した。MOLT-4にエダラボンを投与して放射線照射をしたところ、エダラボンを投与しなかった群に比べて細胞死は抑制され、エダラボンの放射線防護剤としての効果が示された。特に放射線照射後にエダラボンを投与した場合にも細胞死が抑制されることをわれわれは見出した。ラジカルスカベンジャーは、放射線により生じたフリーラジカルを捕捉することにより放射線防護効果を発揮するため、一般には放射線照射後に投与した場合には放射線防護効果はない。エダラボンがフリーラジカル捕捉以外に、別の機構で放射線によるアポトーシスを抑制していることが示唆された。