抄録
放射線照射後のγH2AXの発生とその消滅について時間経過ごとにG0期のヒト正常皮膚細胞を用いて調べた。同様の細胞をまた未成熟染色体凝縮を引き起こした後に調べた。この研究の目標はDNA二本鎖切断の修復、ミス修復と初期の染色体損傷の可能性を調べることになる。
G0期の細胞では、1Gy照射後に最大値となる時間でおよそ30個程度のFociを細胞ひとつ当たりに観測した。また、3Gyを照射後、PCCを引き起こしたものでは、およそ90-100前後のγH2AXを確認した。両方の場合、γH2AXの減り方はほぼ同じ割合であった。γH2AXのPCC上ので分布はPCCフラグメントの端、あるいは中間であった。
G0期に照射した細胞におけるM期での観察では、γH2AXが継続して存在していた。しかし照射後時間をおいて携帯培養することでγH2AXの継続性は少なくなっていた。
大変多くのγH2AXがS期のPCCでは確認できた。これはG0期のPCCとHeLa細胞を融合させた場合は観測できなかった。