日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第49回大会
セッションID: OR-7-1
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DNA損傷・修復2
NHEJ修復酵素群のDNA二重鎖切断部位への動員とリン酸化による制御
*松本 義久ボスリー スシュマ冨田 雅典榎本 敦森田 明典鈴木 紀夫細井 義夫宮川 清
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抄録
哺乳類含め真核細胞において、DNA二重鎖切断は主として非相同末端再結合(NHEJ)および相同組換え(HR)の2つの経路によって修復される。前者においては、DNA-PK複合体(DNA-PKcs、Ku86、Ku70から構成)、XRCC4/DNA ligase IV複合体が中心的な役割を担うと考えられてきたが、本年初頭、XRCC4/DNA ligase IVと結合し、また、構造からXRCC4の遠戚にあたると考えられる新規分子XLF/Cernunnosが報告された。しかし、DNA損傷が生じたときに、これらの分子がいかにして損傷部位に集まって、修復複合体を形成するかについては不明な部分が多い。更に、一連の過程の制御において、DNA-PKcsのタンパク質リン酸化機能が何らかの役割を担うことが想像されるが、実体は全く明らかになっていない。これらの謎を解くためには、NHEJタンパク質群のDNA損傷部位への動員過程を可視化し、それを解析すること、DSB修復におけるDNA-PKcsのリン酸化標的とその意義を明らかにすることが極めて重要である。前者に関して、われわれは前回、前々回のこの学会においてDNA-PKcsが放射線照射後にフォーカスを形成することを報告してきたが、今回、XRCC4についても損傷DNAへの結合を検出した。また、後者については、DNA-PKによるXRCC4のリン酸化部位を同定し、それがDNA修復に重要や役割を担うことを示した。これらの結果をもとに、NHEJ機構の損傷部位への集積と、リン酸化による制御の可能性について議論したい。
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© 2006 日本放射線影響学会
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