日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第49回大会
セッションID: OR-7-5
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DNA損傷・修復2
マウス組織におけるX線によるH2AXリン酸化の特性
*小野 哲也上原 芳彦松浦 伸也小松 賢志井倉 毅E. WOLOSCHAK GaylePAUNESKU Tatjana
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キーワード: H2AX, リン酸化, マウス
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抄録
5ンのリン酸化は放射線により誘発されるDNA二重鎖切断の修復に関連した指標として注目されているが、この反応がさまざまに分化した個体の各組織でどのようになっているかについては余り情報がない。そこで今回、線量依存性と照射後の経時的変化について解析した。
材料と方法:C57BL/6J系2ヶ月令雄マウスを用い0.1~20GyのX線照射(0.72Gy/min)によるH2AXのリン酸化及び5Gy照射後のリン酸化H2AXの消長についてウェスタン法を用いて解析した。蛋白量はH2AXとリン酸化H2AXを比較して解析した。組織としては脾臓、肝臓、脳を用いた。
結果と考察:照射後1時間で調べたリン酸化H2AXの増加は0.5Gy以上の線量で検出され、線量にほぼ比例した増加が見られた。増加量は肝臓では低かった。5Gy照射後リン酸化されたH2AX量の経時的変化を追跡した所1日後ではわずかしか検出されず、1週間後には何も検出されなかった。これについては組織による差は見られなかった。非相同末端結合に欠損のあるマウスではリン酸化H2AXの消失が遅れていた。これらの結果から放射線により誘発されるH2AXのリン酸化は組織依存性のあることが示唆される。
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© 2006 日本放射線影響学会
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