日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第49回大会
セッションID: P1-2
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損傷・修復(回復・DNA損傷・修復関連遺伝子[酵素]・遺伝病)
G1期およびS期細胞における塩基除去修復効率
*寺西 梨衣西田 友紀松山 聡杉浦 喜久弥井出 博久保 喜平
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抄録
塩基除去修復(BER)は損傷塩基を修復する機構であり、脱塩基部位(AP site)を生成する過程に始まり、short-patch経路もしくはlong-patch経路に続く。BERはM期を除く細胞周期の各期でおこるといわれているが、細胞周期との関連性については完全には解明されていない。本研究では、細胞周期の各期における修復様式を明らかにするため、AP siteの定量法であるARP法およびFARP法を用いてG1期とS期におけるmethyl methansulfonate (MMS) 誘発塩基除去修復の修復動態の比較を試みた。まず初めに、単層培養したヒトHeLa RC355細胞をserum starvation/mitotic selection法により同調した。G1期およびS期に同調した細胞をMMS (2.5〜10 mM)で1時間処理した後DNAを抽出し、ARP法を用いてDNA中のMMS誘発AP site数を比較した。いずれの濃度でもG1期とS期のAP site数に大きな差は見られなかった。さらに、FARP法を利用して細胞核内のAP site数の比較を行ったところ、S期細胞中のAP siteの方が高値を示していた。細胞内DNA量を考慮すると、この結果はARP 法で得られた結果を反映しているといえる。以上より、G1期、S期ともに効率良くBERが行われていると考えられる。
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© 2006 日本放射線影響学会
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