3ヵ月以上在宅酸素療法を実施した57例(肺気腫30例,肺線維症6例,肺結核後遺症6例,気管支拡張症5例,その他の疾患10例)を対象に,自己評価式の調査表によるうつ傾向の評価やアンケート調査による在宅酸素療法実施上の問題点の把握を行った.患者は在宅での生活を強く望み在宅酸素療法を評価した.しかし在宅酸素療法患者の約1/3ではうつ傾向の存在が疑われ,同療法実施に伴って精神面・経済面・社会福祉面などさまざまなストレスを感じている可能性が推察された.酸素吸入によって自覚症状の改善はみられたが,生活の質の改善には結びつかない症例のあることも否定できない事実であった.在宅酸素療法患者間での強い親近感の表明は,患者周囲の人的交流の機会の増加をはかる立場からは興味深いものであった.心身両面にわたる包括的な医療,器具の改良や社会基盤の整備などの環境整備,社会福祉面での充実が必要であると思われた.