日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第49回大会
セッションID: P1-25
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損傷・修復(回復・DNA損傷・修復関連遺伝子[酵素]・遺伝病)
DNA鎖間架橋応答におけるNBS1依存的ユビキチン化機構
*久木原 博槌田 謙小松 賢志
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抄録
マイトマイシンC(MMC)などのDNA架橋剤はDNA鎖間架橋(Interstrand cross-links : ICLs)を形成することでDNA複製を阻害し、S期チェックポイントを活性化させる。近年、タンパク質のユビキチン化が様々なDNA損傷応答に関与することが明らかにされたが、DNA複製阻害時での解析は行われていない。そこで本研究では、ユビキチンを認識する抗体(FK2)を用いてMMC処理した細胞のユビキチン化タンパク質を免疫染色法で解析することで、複製阻害時におけるユビキチン化の制御機構について検討した。正常細胞ではMMC処理後8時間で約80%の細胞でフォーカスが観察された。また、サイクリンAとの二重染色法の結果、このフォーカスはS期依存的に形成されることがわかった。DNA修復に関わるNBS1、Mre11、BRCA1をそれぞれ欠損した細胞ではフォーカスが形成されなかった。一方、MMC高感受性を示すファンコニー貧血細胞(FA-G、FA-D2細胞)では正常細胞と同程度のフォーカスが形成された。また、ユビキチン化タンパク質のフォーカス形成には、NBS1の相同組換えに関わるFHA、BRCTおよびMre11結合ドメインだけでなく、S期チェックポイントに関わるATM結合ドメイン、ATMによってリン酸化される部位も必要であることがわかった。さらに、ATMおよびSMC1のリン酸化もこのフォーカス形成に必要であるという結果から、MMC処理後のタンパク質のユビキチン化はDNA修復やS期チェックポイントにおいて機能していることが示唆される。
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© 2006 日本放射線影響学会
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