日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第49回大会
セッションID: P1-29
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損傷・修復(回復・DNA損傷・修復関連遺伝子[酵素]・遺伝病)
損傷乗り越えDNA合成因子REV1のdCMP転移活性と突然変異誘発
*朴 金蓮増田 雄司神谷 研二
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抄録
 損傷乗り越えDNA合成機構は、DNA修復機構とともに染色体の恒常性の維持に必要不可欠な生物機能である。酵母で同定されたREV1、REV3、REV7遺伝子は、損傷乗り越えDNA合成反応に関与し、電離放射線からの生体の防御と突然変異の誘発に重要な役割を担っている。ヒトREV1タンパク質は、鋳型塩基に対してdCMPを取り込むデオキシシチジルトランスフェラーゼ活性を持つ。この活性は、進化的にとてもよく保存されていることから、生体の防御において生物学的に重要な活性であることが示唆されているが、その意義は不明である。
 今回我々はヒトREV1タンパク質の構造解析から、dCMPの認識に重要と考えられるアミノ酸残基を同定した。それらのアミノ酸残基が実際にdCMPの認識に機能しているかどうかを実験的に証明するために、それらのアミノ酸残基をアラニンに置換した変異体REV1タンパク質を精製し、その生化学的性質を詳細に解析した。その結果、たった一つのアミノ酸置換によってREV1の基質特異性と損傷乗り越えDNA合成活性が劇的に変化することが分かった。今後は、この変異型REV1タンパク質を培養細胞で過剰発現させ、dCMP transferase活性の生物学的意義を明らかにしたいと考えている。
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© 2006 日本放射線影響学会
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