日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第49回大会
セッションID: P1-32
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損傷・修復(回復・DNA損傷・修復関連遺伝子[酵素]・遺伝病)
DNAメチル化損傷の修復に関与する酵素間の相互作用の検証
*那須 知尋松山 聡日下 裕之久保 喜平
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キーワード: MPG, APE, pol β
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抄録
DNA修復には、損傷塩基の多様性に応じて複数の経路が存在する。その中のひとつ、Short-patch BERと呼ばれる塩基除去修復機構は大部分の損傷塩基の修復を行う。DNA glycosylaseによる損傷塩基の除去に始まり、形成された脱塩基部位 (AP site) の5'側でDNA鎖をAP endonuclease (APE) が切断し、Polymerase β (pol β) による5'-deoxyribosephosphateの除去と修復合成およびDNA ligaseによるligationで完了する。XRCC1は触媒活性を持たないが,この経路における足場タンパクであると考えられている。これまでの我々の研究により、DNA glycosylaseのひとつである、ヒトmetylpurin DNA glycosylase (hMPG)がAPEと、APEがpol βとそれぞれ相互作用すること、また、pol β欠損細胞ではglycosylase活性が低下することが明らかにされた。
今回、ヒポキサンチンを含むオリゴヌクレオチドとMPGの濃度がほぼ等しいsingle turnoverの実験において、MPGの除去活性はAPE存在下で最大1.53倍上昇し、pol β存在下においては最大1.43倍上昇した。これはsteady-stateでの実験結果とは異なるものとなった.またAPE、pol βの両者が存在する場合においては、それぞれAPE、pol β単独で存在する場合よりもはるかに大きなMPG活性の上昇がみられた。これらの結果はpol βがMPGの活性に影響を与える可能性を示している。
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© 2006 日本放射線影響学会
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