日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第49回大会
セッションID: P1-48
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損傷・修復(マイクロビーム・放射光・紫外線)
シャペロンHSP27に結合し紫外線致死抵抗性に関わるタンパク質の探索
*喜多 和子トウ ギョウハ唐田 清伸菅谷  茂金 元虎佐藤  守朝長  毅野村 文夫鈴木 信夫
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抄録
[目的]HSP27は、種々のストレスに対応するシャペロン分子として知られているが、紫外線(UVC)に対する応答への関与は報告されていなかった。最近、我々は、HSP27がヒト細胞のUVC抵抗性に関わることを見出している。そこで、HSP27の作用機構を明らかにするために、今回、紫外線抵抗性ヒト培養細胞においてHSP27と結合しUVC抵抗性に関わるタンパク質を探索した。
[方法]HSP27をGST融合タンパク質(GST-HSP27)として大腸菌で発現させ、GSH-Sepharoseを用いて精製した。GST-HSP27をNHS-activated Sepharoseに結合させ、GST-HSP27-Sepharoseを作製した。コントロールとして、GSTのみを結合させたGST-Sepharoseも得た。各々のaffinity columnに紫外線致死抵抗性細胞の溶解液をながした後、溶出液をSDS-PAGEで解析した。GST-HSP27-Sepharoseからの溶出液中に特異的に検出されるタンパク質を、LC/MS/MSで同定した。さらに、得られた候補タンパク質とHSP27との細胞溶解液中での結合を免疫沈降法により調べた。
[結果および考察]GST-HSP27-Sepharose に特異的に結合する5個の候補タンパク質が同定された。これらの候補タンパク質のうち、免疫沈降法でもHSP27との結合が確認されたものは、annexin II とHSP70であった。免疫沈降法による解析で、両タンパク質は、紫外線抵抗性細胞において紫外線感受性細胞に比べより多くHSP27と結合することが観察された。さらに、annexin IIに関しては、紫外線照射後、紫外線抵抗性細胞の核画分でタンパク質量が増加することが見出された。従って、これらのHSP27結合タンパク質がUVC照射後の致死抵抗に関わっている可能性が示唆された。
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© 2006 日本放射線影響学会
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