日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第49回大会
セッションID: P1-49
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損傷・修復(マイクロビーム・放射光・紫外線)
ヒト皮膚線維芽細胞株のUVB照射系におけるセリシンの影響 ーアポトーシス関連およびコラーゲン代謝関連遺伝子発現に注目して
*矢追 毅伊東 恭子伏木 信次
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抄録
シルクタンパク質(セリシン)の生物効果を明らかにするため,ヒト正常皮膚由来線維芽細胞株CCD-1093Skに対する紫外線照射実験系を用いて,アポトーシス関連遺伝子およびコラーゲン代謝関連遺伝子発現に注目した解析を行った.
 培養後,70%コンフルエントの時点で,UVB照射を行った。セリシンの効果をみるためには,セリシン膜を介した照射を施行した。遺伝子発現を定量RT-PCR法により解析した.
 まず,照射によるアポトーシス関連遺伝子への影響を調べた.UVB照射(1-100mJ/cm2) 4時間後および6時間後におけるBax,Bcl-2,Bcl-XL各遺伝子の発現は,エネルギー量依存的にその発現が亢進したが,セリシン膜の介在により,両時点における発現亢進は抑制される傾向にあった.セリシン膜は,細胞内のアポトーシス関連シグナル伝達経路に作用を及ぼすことが判明した.
 ヒト皮膚へのUV照射では細胞外マトリックスの破壊が惹起される.そこで,コラーゲン産生・分解系関連遺伝子群の発現を照射後24時間の時点で調べた.コラーゲン分解酵素MMP1, MMP3両遺伝子の照射後の発現上昇はセリシンの介在により抑制されたが,collagen type I alpha 2遺伝子の発現は,セリシン膜介在の有無に関わらず,減少した. collagen type I産生を促進するCTGFの遺伝子発現は照射(5mJ/cm2-50mJ/cm2)により約50%まで低下したが,セリシンの介在により非照射群との比較で1.8倍まで発現亢進した.コラーゲン合成・分解系へのセリシン膜の影響をさらに解析中である.
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© 2006 日本放射線影響学会
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