日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第49回大会
セッションID: S1-1
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がんの機能イメージング
新低酸素細胞イメージング剤[18F]FRP-170の開発と臨床応用
*高井 良尋金田 朋洋袴塚 崇仲田 栄子岩田 錬船木 善仁石川 洋一辻谷 典彦
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抄録
【目的】低酸素細胞増感剤としてポーラ化成研究所で開発されたニトロイミダゾール化合物であるRP-170 (1-[2-hydroxy-1-(hydroxymethyl)ethoxy]methyl-2-nitroimidazole)を18Fで標識した[18F]FRP-170のマウスでの基礎研究および初期臨床応用について。
【方法】[18F]FRP-170約20μCi/0.1mlを、扁平上皮癌ないし線維肉腫を移植した担癌WHT/Ht albinoマウスの尾静脈より投与し、10、30、60、120分後の生体分布を求めた。血流のイメージとして[14C]IAPを用い2重オートラジオグラフィ(DARG)を行った。肺癌10名、再発食道癌4名、他2名、計16名の悪性腫瘍患者に協力を頂き、初期臨床応用として185MBqの[18F]FRP-170を投与後2時間でPET画像を撮った。6例でダイナミックスタディ(DS)が行われた。
【結果】生体分布では腎、肝で腫瘍以上の取り込みを示したが、他の臓器では腫瘍以下で画像化が可能と思えた。腫瘍/血液比は扁平上皮癌で1.97(1.36から2.90)、線維肉腫で2.50(1.72から3.60)であった。DARGによって[18F]FRP-170と血流の分布が表裏イメージとなることが示された。患者によるPET画像ではリンパ腫や小細胞肺癌など放射線感受性の高いもので腫瘍/筋肉比が1.0前後、肺癌、再発食道癌、悪性神経鞘腫などで1.25から2.14であった。DSの結果からは1時間でも撮像可能と思われた。
【結論】[18F]RP-170は腫瘍内の明らかに血流の減少している部位において取り込みが増加していた。臨床画像では、腫瘍/筋肉比1.5以上のものが多く認められ低酸素細胞の存在診断に有用であることが示唆された。この新薬剤は水溶性が高く、臨床応用に有利であろう事が示唆された。
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© 2006 日本放射線影響学会
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