日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第49回大会
セッションID: P1-55
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放射線応答(活性酸素・アポトーシス・細胞周期)
新規 JNKカスケード制御因子の機能解析とそれを標的としたアポトーシス増感
*榎本 敦木戸 直樹森田 明典伊藤 道彦松本 義久細井 義夫宮川 清
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抄録
MAPKシグナル伝達経路は、様々な外界の情報に対する細胞応答(増殖、細胞死、分化)に重要な役割を果たしていることが知られている。現在、ほ乳類細胞におけるMAPK経路はERK, JNK, p38の3つに分類されており、それぞれMAPKKK, MAPKK, MAPKの各コンポーネントより構成されている。その中で特にJNKカスケードは、ストレス応答やアポトーシスの誘導に深く関与していることが知られている。我々は、JNKカスケードの最上流に位置するMAPKKK (MEKK1, MEKK2, TAK1など)に結合する新規のセリン・スレオニンキナーゼを単離した。このキナーゼの機能や細胞内での基質については未だ明らかではない。MAPKKKはストレスに対し、2量体形成とそれに続く自己リン酸化によって活性化し、下流のMAPKKをリン酸化してシグナルを伝達することが知られているが、我々の単離したキナーゼはこのMAPKKKの活性化のステップを抑制していることが判明した。また他の MAPKカスケードへの影響はほとんど認められなかった。次にこのキナーゼに対するshRNA発現ベクターを作成し、HELA細胞に導入した。その結果、ストレス刺激に対してMAPKKK活性の亢進とアポトーシスの増強が観察された。今回の発表では、この新規キナーゼによる JNKカスケードの制御分子機構の詳細とそれを標的としたノックダウンによるアポトーシス増感について報告する。
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© 2006 日本放射線影響学会
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