日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第49回大会
セッションID: P1-59
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放射線応答(活性酸素・アポトーシス・細胞周期)
細胞種に依存した細胞の放射線応答反応:アポトーシス誘発と分裂期異常
*秋元 志美安永 晋一郎大坪 素秋藤原 好恒山本 卓瀧原 義宏谷本 能文鈴木 文男
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抄録
紫外線と電離放射線はともにDNA損傷を引き起こすことが知られているが、同じ細胞に紫外線あるいは電離放射線を照射した場合の細胞の反応は異なる。また同種の放射線を照射した場合の細胞の応答性が細胞種によって異なることもわかっている。そこでそれらの違いが何に起因するのかを調べるために、血球系及び上皮系由来の2種類の細胞を用いて、紫外線及び電離放射線に対する応答性を検討した。
【材料と方法】実験にはJurkat細胞とHeLa細胞を用いた。細胞にほぼ同程度の細胞致死効果を与えるγ線及び紫外線(254 nm)を照射した。照射後様々な時間細胞を培養し、その後の形態的な変化や細胞死について調べた。
【結果と考察】γ線及び紫外線についてコロニー形成法により生存率曲線を描いたところ、Jurkat細胞、HeLa細胞ともにγ線15 Gyと紫外線20 J/m2が同程度の致死効果を与えることがわかった。紫外線を照射すると、Jurkat細胞ではHeLa細胞よりも速やかにapoptosisが誘発された。γ線を照射した場合、Jurkat細胞は紫外線照射時よりも遅いapoptosisを引き起こすのに対し、HeLa細胞は全く異なる細胞死の形態変化を示した。しかしそれぞれの細胞周期を調べてみると、紫外線及びγ線による細胞周期進行の変化には、両細胞種間でほとんど違いは見られなかった。
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© 2006 日本放射線影響学会
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