日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第49回大会
セッションID: P1-66
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放射線応答(活性酸素・アポトーシス・細胞周期)
膀胱がん細胞における放射線照射後の小核形成、多核化、核変形の原因について
*川村 研二
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抄録
【はじめに】 不完全な分裂による細胞の多核化は、細胞の有糸分裂過程の最終段階で核の分裂が終了した後引き続いて起こる細胞質分裂が阻害されることによって起こる。中心体複製周期は厳密にコントロールされており,その調節機構の破綻が中心体過剰複製の原因となる。放射線照後に核変形が生じる原因について検討した。
【対象と方法】 膀胱癌細胞株KK47, HT1376,ヒト線維芽細胞CCDに放射線を照射し、中心体免疫染色,染色体分析を行い経時的変化について検討した。
【結果】 KK47, ヒト線維芽細胞CCDは中心体過剰複製を認めない細胞株でありHT1376は中心体過剰複製を認める細胞株であった。膀胱がん細胞株KK47, HT1376は放射線照射24時間目以降にG2停止となった細胞に中心体過剰複製が生じ、その結果,細胞分裂の障害,細胞分裂死が生じた。また、放射線照射後に生じる、染色体異常(リング、二動原体)が分裂時の染色体架橋形成を生じさせ、分裂障害を生じさせていた。線維芽細胞CCDではG1/G2停止が生じた。siRNA法を用いたp53のサイレンシングにより正常線維芽細胞にも分裂異常、染色体架橋形成が生じることを見出した。
【結語】がん細胞において染色体架橋形成、中心体過剰複製は放射線照射による細胞死に重要な役割を果たすと考える。
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© 2006 日本放射線影響学会
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