日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第49回大会
セッションID: P1-67
会議情報

放射線生物学(低線量・低線量率)
腫瘍細胞排除能の線量率依存性の検討
*星 裕子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】低線量率放射線連続照射によるMethylcholanthrene誘導皮下がんの発生抑制の作用機序解明の一つとして、照射による腫瘍細胞排除能の変動について解析を進めている。これまで、低線量率放射線を250mGy事前照射したC57BL/6N(B6)マウスに腫瘍細胞を移植するとTD(Tumor Dose)50の値が上昇することを報告した。今回は、この事前照射の線量率による腫瘍細胞排除能の変動について解析した。
【材料・方法】照射は低線量率として、137-Cs (370GBq)を線源とし、空間線量率0.4-1.2mGy/hr、高線量率としてX線による2.4-30Gy/hrを、その中間として60-Coの96mGy/hrを用いて、総線量250mGyとなるようにおこなった。B6マウス(メス)には6週齢から腫瘍細胞移植まで事前照射を行った。各々に系列希釈したMC誘発腫瘍細胞を移植し、63日後の腫瘍生着率よりTD50値を求め、これを腫瘍細胞排除能の指標とした。
【結果・考察】低線量率照射群では、250mGyでTD50値の上昇が認められた。しかし、高線量率群では非照射群に比較してTD50の変動は見られず、その中間の線量率として用いた群においてもコントロールレベルと変わらなかった。これらの結果は、低線量率の照射であれば、腫瘍細胞排除能亢進を引き起こすが、96mGy/hrの線量率になるとすでにその現象は引き起こされないことを示し、この腫瘍細胞排除能亢進は低線量率放射線に特異的な作用であることが示された。
著者関連情報
© 2006 日本放射線影響学会
前の記事 次の記事
feedback
Top