日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第49回大会
セッションID: P2-38
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放射線治療生物学(感受性・高LET・防護剤・増感剤・ハイパーサーミア・診断)
腸上皮細胞のX線誘発細胞死に対するIL-11の保護効果
*植村 隆中山 敏幸草場 隆史舘 祐一山住 和之松山 睦美七條 和子関根 一郎
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抄録
【背景】インターロイキンー11(IL-11)は細胞成長や分化に関係する抗炎症性サイトカインで、X線による粘膜障害を減弱することでも知られている。
【目的】X線照射した正常な腸上皮細胞におけるIL-11の効果を明らかにする。
【材料と方法】IL-11処理した正常ラット回腸上皮細胞にX線を照射し、細胞生存率を検討した。X線による細胞死を検出するために、トリパンブルー染色法を用いた。
【結果】X線照射したIEC-18細胞の生存率はIL-11により上昇し、p90 ribosomal protein (p90 RSK)とS6 ribosomal protein(S6Rp)を活性化した。PI3K特異的阻害剤であるwortmannin投与は、IL-11処理したIEC-18細胞でS6Rpの活性化を抑制し、X線照射したIEC-18細胞のIL-11による生存率上昇を減少させた。我々はさらに、X線誘発細胞死におけるアポトーシスの割合を評価するためにTUNEL法を行った。トリパンブルー染色法とTUNEL法の結果に有意な差はみられず、さらにIL-11はX線照射したIEC-18細胞で活性化型caspase-3の発現を抑制した。
【結論】これらの結果は、IL-11がX線障害からの腸上皮細胞の保護に重要な役割を果たすかもしれないことを示唆している。
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© 2006 日本放射線影響学会
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