日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第49回大会
セッションID: P2-69
会議情報

被ばく影響(原爆影響・胎内被ばく・被ばく事故・その他)
原爆被爆者の口述記録分析 -健康と被爆の関連から-
*三根 真理子横田 賢一太田 保之柴田 義貞
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】
 原爆被爆者の口述記録をテキスト型データ解析で分析し、健康と被爆の関連を考えるとした群の特徴を調べることを目的とした。
【対象と方法】
 長崎市は長崎市在住の原爆被爆者1,237人を対象に、被爆時の状況や被爆体験に関する面接聞き取り調査を1997年に行なった。同調査から得られた口述記録をテキスト型データ解析の方法を用いて分析した。解析対象は1,237人のうち、性、年齢、GHQ-30、被爆距離の項目がすべて判明している928人とした。被爆体験に関する聞き取りの中で「健康状態が悪い時、被爆との関係を考えますか」という問いに「はい」と回答した者(考える群)と「いいえ」と回答した者(考えない群)との証言の特徴を検討した。「はい」と回答した者は477人、「いいえ」と回答した者は308人であった。
【結果】
考える群と考えない群の証言の長さの平均は245字(6~2891)と154字(6~2861)であり、考える群の方が長く話す傾向がみられた。有意となるキーワードは考える群では身体、貧血、骨などの身体的状況や肝臓、甲状腺、手術などの疾病に関するものが上位となった。考えない群では身体的状況に関するキーワードは上位にはならなかった。特に被爆時年齢19歳以下において考える群の特徴が目立った。
著者関連情報
© 2006 日本放射線影響学会
前の記事 次の記事
feedback
Top