抄録
水溶液中のdGMP (deoxyguanosine monophosphate)のOHラジカル付加物に対するシリビンとシリビン誘導体の修復のメカニズムを解明するためのパルスラジオリシス実験を実施した。0.01mMのシリビン、2mM dGMPを含む中性水溶液をN2Oで飽和して用いた実験の結果、dGMPのOHラジカル付加物の吸収スペクトルの減衰と平行してシリビン類のフェノキシラジカルの生成を観測した。これは、dGMPのOHラジカル付加物のシリビンによる修復作用を示しており、その反応速度定数を1×109M-1s-1と決定出来た。また、4種のシリビン誘導体の修復反応の速度定数も測定し、その中ではシリビンが最も高修復効率を持つことを示した。これらはフェノキシ系抗酸化剤の一般的な非酵素の迅速修復機構を示している。