日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第50回大会
セッションID: W9-1
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マイクロビームを用いた研究の多様性と将来への展開
マイクロビームX線照射システムを用いた研究の展望
*冨田 雅典小林 克己
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抄録
細胞1個1個を狙い撃ちできるマイクロビーム照射装置は、バイスタンダー応答をはじめとする放射線応答を解明する上で有効なツールである。その一方で、バイスタンダー応答研究以外については取り上げられる事が少なく、各施設では装置の開発・改良とともに、ビームの特徴を生かした新しい研究のアイデアやユーザーの獲得に向けて、さまざまな応用の可能性を模索している。本ワークショップでは、マイクロビーム研究の多様性と将来性を検討する。
 電力中央研究所では、バイスタンダー応答を含めた低線量・低線量率放射線に対する応答機構解明のため、マイクロビームX線照射システムを導入した。α線等の粒子線マイクロビームを用いた研究については、すでに数多く報告されているが、X線については、LETが高い粒子線とは細胞応答が異なることが推測できるものの、十分明らかにされていない。
 本装置の特徴は、(1)デスクトップ型(2)フレネルゾーンプレート(FZP)を用いた集光系(3)共焦点レーザー顕微鏡を装備した点である。本システムは加速器を用いないため、通常の実験室に設置可能である。X線は、電子銃(オメガトロン社製)を用いて電子線をアルミニウムターゲットに照射して発生させる。X線ミラーで反射させた特性X線(1.49 keV)をFZPにより回折させ、マイクロビームを形成する。シンチレーターを用いた測定では、直径2-3 μmのビームが安定して得られた。顕微鏡には、オリンパス社の共焦点レーザー顕微鏡FV300を装備し、照射の瞬間からの鮮明な蛍光画像が取得できる。本装置の物理測定結果などを踏まえ、研究の展望を紹介する。
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© 2007 日本放射線影響学会
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