日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第50回大会
セッションID: CP-102
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放射線応答とシグナル伝達
放射線高感受性MOLT-4細胞株におけるp53依存性放射線誘発アポトーシス経路の解析
*伊藤 あずさ森田 明典山元 真一船津 修池北 雅彦
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抄録
ヒトT細胞性白血病細胞株MOLT-4細胞は放射線に高感受性を示し、放射線誘発アポトーシスのモデル細胞死として多くの研究で用いられている。このMOLT-4細胞の放射線細胞死は、ドミナントネガティブp53やp53 shRNAの導入実験からp53依存性であることが明らかにされている。一方、近年、これまで転写因子としての機能が注目されてきたp53分子の新たなる機能として、p53転写に非依存的なミトコンドリア経路での作用が注目されている。また、この転写非依存性経路に関しては、p53のコドン72における一塩基多型、Arg型とPro型ではアポトーシス誘導性が異なり、アポトーシス時にArg型p53がミトコンドリアへ移行することが転写非依存性の経路、およびArg型の強いアポトーシス誘導活性に関わることも報告されている。 そこで本研究では、まずMOLT-4細胞のp53コドン72遺伝子型の同定を行った。γ線10Gy照射MOLT-4細胞およびNalm-6細胞のp53のウェスタンブロット解析の結果、Nalm-6細胞のp53は、対照として用いたSaOs-2細胞導入Pro72-p53とほぼ同じ電気泳動移動度を示した。一方、MOLT-4細胞はPro72-p53よりも低い電気泳動移動度を示し、MOLT-4細胞のp53はArg72型である可能性が高まった。そこで、コドン72をコードするp53 exon4のgenomic DNAの配列解析を行ったところ、MOLT-4細胞のコドン72の遺伝子型はArgホモ接合型であることが明らかとなった。今後は、コドン72多型に関わるp53転写依存性/非依存性経路の詳細な解析を行い、両経路が放射線感受性に及ぼす影響についての評価を進める予定である。
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© 2007 日本放射線影響学会
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