日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第50回大会
セッションID: CP-103
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放射線応答とシグナル伝達
HO-1遺伝子の強力発現を誘導するCAPE応答性モチーフのレポーター遺伝子RNA法による検索
*鈴木 桂子田中 泉NONTPRASERT Apichart田中 美香石渡 明子榑松 文子佐藤 明子石原 弘
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抄録

[目的] Heme oxygenase-1 (HO-1)はヘムをCO, biliverdin, Fe2+に分解する酵素であるのみならず、細胞保護やホメオスタシスの維持など多様な生体作用を有し、生体の放射線防護に寄与することが示唆されている。我々は種々のポリフェノール化合物のうち、プロポリスの成分のcaffeic acid phenethyl ester (CAPE)などの一部の化合物のみが構造依存性にマウスmonocyte-macrophage細胞(RAW264.7)におけるHO-1 のmRNAの量を40倍もの高レベルで誘導することを示した。今回独自開発したレポーター遺伝子RNA測定法を使用して、この強力な遺伝子活性化に関与する領域の探索に着手した。[方法] マウスgenomic DNAからHO-1遺伝子の上流~第二イントロン領域の一部を分離し、レポータープラスミドを構築した。これらのレポーター遺伝子と内部標準用のリファレンス遺伝子をRAW264.7細胞にエレクトロポレーションで共導入した後にCAPEで処理した。細胞から調製したRNAを専用のPrimer共存下、逆転写してTaqMan probeを使用したreal-time RT-PCRにより導入遺伝子由来のmRNA量を測定した。[結果]HO-1第一エクソン上流4050塩基から第一イントロン350塩基まで、第二エクソン上流350塩基から第二イントロン400塩基までの領域について、5種類のレポーター遺伝子を構築・比較した。第一エクソン上流4050~転写開始点までを持つレポーターはCAPEにより転写物が増加したが、第一エクソン上流1240~転写開始点までを持つレポーター等ではCAPE応答性は認められなかった。 [結論]マウスHO-1 geneのCAPE応答部位はHO-1遺伝子上流4050~1240塩基までの範囲に存在することが示唆された。

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© 2007 日本放射線影響学会
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