日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第50回大会
セッションID: FO-047
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低線量・低線量率の効果
低・中線量率放射線連続照射マウス脾臓における遺伝子発現の時間的変化
*杉原 崇村野 勇人田中 公夫小木曽 洋一
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抄録
低線量率(< 144 mGy/day)、あるいは中線量率(144 - 144,000 mGy/day)放射線を連続照射したマウスの組織における照射時間に伴う遺伝子発現変化については知られていない。我々が以前NIH/PG13細胞を用いて行なったマイクロアレイ解析結果から、p53依存性遺伝子(p21,CyclinG1)、及びp53非依存性の細胞外マトリックス遺伝子(Tnc, Col1a2 and Fbln5)に注目して、脾臓における経時的な遺伝子発現変化を観察した。C3Hメスマウスを400 mGy/22 hr/day(18.2 mGy/hr)の中線量率γ線で1-20日間照射後、遺伝子発現の時間的変化をリアルタイムPCR法で測定した。p53依存性遺伝子(p21,CyclinG1)の発現は(0.8 Gy以上)照射から4日目以降から増加したが、細胞外マトリックス遺伝子(Tnc, Col1a2 and Fbln5)の発現は(4.0 Gy以上)開始後から増加した。この結果は以前行なった中線量率放射線を照射した培養細胞の結果とほぼ同様であった。一方、20 mGy/22 hr/day(0.91mGy/hr)の低線量率γ線照射では1-40日間照射(20 mGy - 800mGy)してもp53依存性遺伝子及び細胞外マトリックス遺伝子遺伝子発現の変化は見られなかった。以上のように中線量率放射線連続照射されたマウス脾臓におけるp53依存性遺伝子の経時的発現変化は細胞外マトリックス遺伝子群とは異なっていることから、これらの遺伝子は異なる発現制御を受けていることが示唆される。本研究は青森県からの受託事業により得られた成果の一部である。
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© 2007 日本放射線影響学会
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