日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第50回大会
セッションID: FP-243
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低線量・低線量率の効果
天然放射性鉱石からの222Rn散逸率に影響を及ぼす環境諸因子の検討
*花元 克巳迫田 晃弘永松 知洋石森 有山岡 聖典
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キーワード: 222Rn散逸率, 環境温度, 粒径
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抄録
【目的】我々はこれまでに、ラドン療法解明の一環として、ラドン療法で世界的に有名な三朝(鳥取県)やバドガスタイン(オーストリア)の温泉地周辺に存在する天然放射性鉱石から水中への222Rn溶出に影響を及ぼす環境諸因子について検討し、報告してきた。しかし、これら鉱石から空気中への222Rn散逸に関する研究はなされていない。そこで、本研究では、ラドン温泉地周辺に存在する鉱石から空気中への222Rn散逸に及ぼす環境諸因子の影響を明確にするために、様々な条件下において鉱石からの222Rn散逸率をγ線スペクトロメトリにより測定した。【方法】試料として、岡山大学病院三朝医療センター・高濃度ラドン熱気浴室の源泉泥(0.9±0.0 Bq/g)、およびバドガスタインで採取した鉱石(6.4±0.0 Bq/g)を用意した。また参考のために、人形峠近辺の土壌(10.8±0.3 Bq/g)も用意した。本研究で検討する環境因子として、温度(5、25、40、60、80°C)、および粒径(<63、63-250、250-500、500-1000、1000-2000 μm)を考えた。実験手順は次の通りである。各粒径の乾燥試料を共栓ガラス瓶に入れ密栓し約30日間静置した後、高純度ゲルマニウム検出器によるγ線測定を行った。その後、各温度条件下で2日間静置し、さらに、同温度下で瓶の栓を開け222Rnを外へ逃がし、再びγ線測定を行った。2回測定における214Pbあるいは214Biから放出されたγ線のカウント比を取り、222Rn散逸率を算出した。【結果と考察】鉱石からの222Rn散逸率は環境温度に依存して上昇した。これは、温度が高いほど222Rnの粒子表面への吸着量は減少し、気相に存在しやすいためと考えられる。一方、温度に依存して222Rnの拡散係数は増大するが、固体内での222Rnの拡散係数は非常に小さいため、これが散逸率の上昇の直接の原因とは考えにくい。222Rn散逸率の粒径依存性については、本大会で発表する。
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© 2007 日本放射線影響学会
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