日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第50回大会
セッションID: HO-062
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被ばく影響とその評価
原爆被爆者の飲酒・喫煙情報に関する研究
*横田 賢一三根 真理子柴田 義貞
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抄録
【目的】飲酒、喫煙に関する情報は原爆被爆者の疫学研究に不可欠な生活習慣要因である。これらの情報の確かさを検討するため、異なる調査方法により収集した回答の一致度について検討することを目的とした。
【対象と方法】長崎市は2003年3月、市内在住の原爆被爆者に対して自記式質問紙による郵送調査を実施した。また被爆者定期健診の際には毎回受診の度に飲酒、喫煙状況の聞き取りが行われている。郵送調査の有効回答者35,065人のうち、2002年4月1日から2004年3月31日までの間、原爆被爆者定期健診を受診し、回答の比較が可能な21,341人(男8,468人、女12,873人)を対象とした。対象の調査時年齢は男女共に56歳以上で平均年齢(標準偏差)は男69.4歳(7.2歳)、女71.5歳(7.9歳)であった。性、年齢別に郵送調査の回答に対する聞き取り調査の回答の一致度を調べた。また、被爆状況別の傾向の違いについても検討を行った。
【結果と考察】男の飲酒については、郵送調査では毎日飲酒は35.9%、時々飲酒26.9%、非飲酒37.2%に対し、聞き取り調査では毎日飲酒44.8%、時々16.5%、非飲酒38.8%であった。男女共に聞き取り調査では時々飲酒の回答が減っている。時々飲酒の一致度は男で43.8%、女で35.3%である。特に女の場合は時々飲酒が非飲酒へ偏っていた。また、喫煙については、男は比較的一致していたが、女は郵送調査では現在喫煙が4.9%、過去喫煙4.4%、非喫煙90.6%に対し、聞き取り調査では現在喫煙が4.5%、過去喫煙0.7%、非喫煙94.9%と聞き取り調査では過去喫煙が特に低くなっており、一致度は11.2%で非喫煙に偏っていた。飲酒、喫煙の割合および回答の一致度について直接被爆(距離別)、入市、救護、胎児等の被爆状況による違いは見られなかった。
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© 2007 日本放射線影響学会
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