日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第50回大会
セッションID: HO-061
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被ばく影響とその評価
核兵器テロ後の大線量生存者のがん死亡予測
*加茂 憲一高田 純
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抄録
地表核爆発となる核兵器テロに対する放射線防護を研究している。今回は、先に求めた線量空間分布を東京都に適用し1、生存者の超過がん死亡を、Wumらが提唱した生命表の方法で予測した2,3。がん統計として2000年東京都5歳階級別人口とがん死亡数のデータを使用し、東京都の区市町村別の昼間人口データを役場の座標により10メートル単位で平滑化した人口分布データベースを作成した。  威力1キロトンの核爆発後、実効風速毎時24kmで核の灰が輸送され地表に降下する条件での、線量レベル分布を楕円形等高線で表現し、被災人口を求めると、A(4Sv以上)が5万人、B(1-3Sv)11万人、C(0.1-0.9Sv)69万人である。生存が厳しいレベルAを除くレベルBとCの生存者に対し予測した。その結果、生涯がん死亡超過リスクは、レベルCとBに対し、男性が0.8%、3.4%で、女性が 0.6%、2.5%となった。  これら生存群の寿命短縮を推定すると、レベルCとBに対し、男性が0.09歳、0.36歳で、女性が0.07歳 、0.29歳なった。すなわち、高線量を受けた生存者の寿命短縮は、顕著ではないことが予測された。なお、予測結果は1945年8月6日に空中核爆発を受けた広島の近距離生存者に対する調査結果と矛盾はない。 1 高田純. 東京に核兵器テロ! 講談社, 2004. 2 Wum LM., Merrill RM., Feuer EJ. Estimating lifetime and age-conditional probabilities of developing cancer. Lifetime Data Anal. 4 (1998) 169-186. 3 加茂憲一,金子聰,吉村公雄,祖父江友孝.日本におけるがん生涯リスク評価.厚生の指標 52-6 (2005) 21-26.
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© 2007 日本放射線影響学会
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