日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第50回大会
セッションID: W3R-335
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放射線DNA損傷修復機構研究の最前線
色素性乾皮症G群蛋白質は基本転写因子TFIIH複合体の安定化する
*倉岡 功伊藤 伸介竹立 新人石上 智愛田中 亀代次
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抄録
 紫外線に高感受性、高発がんを示す色素性乾皮症XP相補性群Gの責任遺伝子産物(XPG)は紫外線により生じるDNA損傷を修復するヌクレオチド除去修復(NER)機構に必須の因子である。このNER機構は、主にXP蛋白質群より構成され、1)損傷部位の認識、2)DNA構造変化、3)損傷部位の切断、そして4)新生鎖の合成と4つのステップによって成り立ち、構造認識エンドヌクレースであるXPGは、NER機構の3)のステップに関与していることが知られている。  一方、XP同様に紫外線に高感受性を示すコケイン症候群(CS)という疾患が存在する。この症候群は、XPと異なり高発がんは示さないが、早老症を示し、DNA損傷依存的な転写異常があることが示されていた。  XPおよびCSは、異なる疾患でありながら、この両方を併発するXP/CS患者が存在する。それぞれXPB、XPDおよびXPGを欠損した場合である。XPBおよびXPDは基本転写因子TFIIHのサブユニットであるから、転写異常が原因とされるCS症状を説明できる。しかしながら、XPGはNER機構にのみ関与する構造認識エンドヌクレースであり、なぜCSを併発するのかが不明であった。  我々はXPGを安定発現できる細胞株を樹立し、XPGが転写因子TFIIHと複合体を形成すること、さらに核内受容体を介する転写活性化に関与することを見つけた。このことはXP-G/CS患者のCS症状をうまく説明できると思われる。
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© 2007 日本放射線影響学会
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