日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第51回大会
セッションID: EO-2-3
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放射線治療・修飾
スルフォラファンと重粒子線との併用における放射線増感による抗腫瘍効果の検討
*関根 絵美子于 冬二宮 康晴窪田 宣夫藤森 亮岡安 隆一安西 和紀
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抄録
〔目的〕スルフォラファンはブロッコリースプラウト(ブロッコリーの芽)の中に見つけられた物質であり、腫瘍細胞において細胞周期をG2/Mチェックポイントで停止させることや、apoptosisを誘導することが知られている。我々は新たな放射線増感剤を開発する目的でスルフォラファンに注目した。以前、我々は、スルフォラファンをX線照射と併用することで放射線増感効果があることを確認した。また、その増感のメカニズムは、X線照射後のDNA二重鎖切断(DSB)の修復をスルフォラファンが阻害することによるということが分かった。そこで、本研究では、スルフォラファンと重粒子線(炭素線)との併用における放射線増感について検討した。重粒子線治療において、スルフォラファンが有用であるか検討することが本研究の目的である。 〔方法〕子宮頚部癌細胞(HeLa細胞)を用い、20 μMのスルフォラファンを24時間処理し、炭素線(290 MeV/n, LET 70 KeV/μm)照射後の生存率をコロニー形成法によって評価した。DNA DSB修復の影響実験については、定電圧電気泳動法(CFGE)や、γ-H2AX (DSBs marker) を用いた免疫蛍光法により評価した。Rad51 (HRR pathway)、p-DNA-PKcs (NHEJ pathway)を用いた免疫蛍光法によりDSBs修復経路の効率を検出した。細胞周期に対する影響については、flow cytometoryにて測定した。さらには、in vivoで、ヌードマウス移植ヒト腫瘍モデルを用いて腫瘍の治療効果に与える影響を調べた。 〔結果と考察〕スルフォラファン前処理によりHeLa細胞の放射線増感効果が重粒子線でも得られた。CFGEにより、スルフォラファンと重粒子線を併用すると、DSBsの修復を阻害することが分かった。スルフォラファン(300 μmol/kg)を連続8日間マウスの腹腔に注射し、炭素線4Gyを4日目に局所照射した。その結果、放射線との併用グループでは放射線単独や薬剤単独に比べて顕著な腫瘍増殖の抑制が観察された。 本研究により、細胞レベルと動物レベルで、スルフォラファンによる放射線増感効果が重粒子線照射でも確認された。スルフォラファンを新たな放射線増感剤として確立すべく、将来の臨床応用へとつなげたい。
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© 2008 日本放射線影響学会
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