日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第51回大会
セッションID: FO-3-2
会議情報

被ばく影響・疫学
電離放射線による先天性小頭症遺伝子ASPMの発現抑制
*藤森 亮王 冰岡安 隆一矢追 毅伏木 信次
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
小頭症は原爆の胎児被曝に関連する発生異常であり、マウス胎児の放射線への曝露によっても誘発される。しかし、放射線誘発小頭症の発症のメカニズムは十分に解明されていない。我々は、コンフルエントなヒトの胎児由来二倍体線維芽細胞にX線あるいは重粒子線を照射し、これら比較的強い放射線によって誘導される遺伝子発現をHiCEP法を用いて抽出した。これらには、CDKN1Aを含む既知の細胞周期制御遺伝子群が含まれる。今回、発現が顕著に減少する遺伝子に着目した。中でも、ASPM(abnormal spindle-like microcephaly associated gene)遺伝子の発現は、他のヒト培養細胞でも電離放射線によって有意に発現が抑制されることを明らかにした。ASPM遺伝子は、近年明らかになった家族性小頭症(MCPH5)の原因遺伝子であり、その患者の多くにASPM蛋白質の欠如につながる遺伝子の変異が見つかる。我々は、マウスAspmホモログ遺伝子の発現がX線に被曝した胎児の脳、とりわけ脳室底領域において減少することを示した。さらに、胎仔脳から神経幹細胞の培養系(neurosphere)を樹立し、これにX線を照射したところ、AspmのmRNAと蛋白質の両者で顕著な減少が観察された。このことは、Aspm蛋白の放射線による減少が生後の小頭症発症の原因であるという一つの可能性を示唆する。
著者関連情報
© 2008 日本放射線影響学会
前の記事 次の記事
feedback
Top