日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第52回大会
セッションID: P2-91
会議情報

放射線応答・シグナル伝達
メダカATM、ATR変異体の解析
*石川 智子音在 信治亀井 保博藤堂 剛
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
放射線や化学物質など環境因子の生物影響を考える上で、突然変異は重要な位置を占める。分子生物学的解析の進展により、突然変異生成のメカニズム、またそれに関わる遺伝子群について、細胞レベルでその詳細が明らかにされてきている。しかしながら、突然変異は極めてまれな事象である為、個体レベルでの解析、つまり実際の体組織・体細胞の中でどの様な頻度でそれらが生成され、またどの様なタイプの細胞で起こった変異が発がん等個体レベルでの重篤な帰結につながるのか、についての解析は未だほとんどなされていない。本研究は、「突然変異」の個体・組織レベルでの解析系をメダカにおいて確立することを目指している。
環境因子の多くはDNAに損傷を与える。細胞はこれらDNA損傷を認識し、細胞周期の停止、損傷の修復あるいはアポトーシス等様々な応答を誘導することにより、損傷の軽減を計る。しかしながら、最終的に損傷が残存し、それらが突然変異につながる。我々はこの一連の突然変異生成機構のうち、まずチェックポイント関連遺伝子として、ATM, ATR, p53のメダカ突然変異体をTILLING法を用いて作製した。変異体ライブラリーのスクリーニングの結果ATM,ATRではナンセンス変異体を一つずつ、p53では二つのナンセンス変異体を得ることができた。現在これらの変異個体の作成し解析を行っている。これまでの結果について報告したい。
著者関連情報
© 2009 日本放射線影響学会
前の記事 次の記事
feedback
Top