日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第52回大会
セッションID: P3-112
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放射線発がん
ラット乳がんにおける放射線被ばくに特徴的なマイクロRNA解析
*飯塚 大輔今岡 達彦西村 まゆみ高畠 貴志柿沼 志津子河合 秀彦鈴木 文男島田 義也
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キーワード: 放射線発がん, miRNA, 乳がん
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抄録
【目的】女性における乳がんは世界的に高い発症率を示している。原爆被爆者の疫学調査において、女性における乳がん発症リスクが最も高い事が知られている。しかしながら放射線による乳がん発症メカニズムについては未だに明らかになっていない。近年、非コードRNAの中でもマイクロRNA(miRNA)が腫瘍化を引き起こす因子として同定されてきている。本研究では放射線によって引き起こされる乳がんのmiRNA発現異常を捉えることにより、放射線誘発乳がん発生メカニズムに関わるmiRNAの探索を目的としている。
【方法】7週齢Sprague-Dawleyラット(♀)に放射線(γ線;2 Gy)を照射した後、発生した乳がんから、8腫瘍を選定した。また、比較対象として自然発生の腫瘍(8腫瘍)を選定した。正常乳腺組織も7組織選定した。選定された腫瘍よりmirVana miRNA Isolation Kit RNA (Applied Biosystems)にて全RNAを抽出し、 Rat miRNA microarray、8x15K (Agilent)を使用し、マイクロRNA発現を検出した。定量PCRはMicroRNA Assays (ABI)を用いて解析した。
【結果】クラスター解析により、正常乳腺組織と乳がんは区別されたが、自然発生の腫瘍と放射線誘発の腫瘍とを区別することはできなかった。放射線誘発乳がん8腫瘍と自然発生の8腫瘍についてmiRNA発現を比較したところ、7個のmiRNAが有意差を示した(p<0.05)。これらのmiRNAは正常乳腺組織や自然発生腫瘍に比べ放射線被ばくで増加していた。このうち発現量が3倍以上変動していた2個のmiRNAに関して発現量を定量PCRにて検討したところ、マイクロアレイと同様の傾向が見られ、miR-135bに関しては有意差が認められた。今後、培養細胞を用いmiR-135bの乳腺ならびに乳がんでの機能を明らかにする予定である。
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© 2009 日本放射線影響学会
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