日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第52回大会
セッションID: OA-4
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塩基損傷
APサイト修復に関わる線虫APN-1タンパク質の機能解析
*加藤 悠一橋口 一成秋山(張) 秋梅
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抄録
DNA中の塩基が脱落した部位はAPサイトと呼ばれ、主要なDNA損傷のひとつである。APサイトは塩基の自然な脱落や塩基除去修復の中間生成物として生じ、修復されないと突然変異や細胞死の原因となる可能性がある。APエンドヌクレアーゼはAPサイトを認識し、その部位でDNA鎖を切断する酵素である。切断により生じたニックが修復合成によって埋められることでAPサイトの修復は完了する。APエンドヌクレアーゼは大腸菌からヒトまで広く保存されており、アミノ酸配列の相同性から大腸菌のエキソヌクレアーゼIII (Xth)型とエンドヌクレアーゼIV (Nfo)型の2つに大別される。Xth型とNfo型はそれぞれ発現量や誘導性などの性質が生物種によって異なっていることが知られている。今回私たちは生物の老化とAPサイト修復の関係を探るため、老化のモデル生物である線虫C. elegansを用い、Nfo型のAPエンドヌクレアーゼであるAPN-1タンパク質の機能解析を行った。私たちはまず精製APN-1タンパク質がTHF(テトラヒドロフラン)-APサイトを含むオリゴヌクレオチドを切断する活性を有するか調べた。THF-APサイトは実際に生体内で生じるAPサイトとほぼ同一の構造をした化合物であり、APエンドヌクレアーゼにより切断されることが知られている。精製APN-1タンパク質はTHF-APサイトを切断し、APエンドヌクレアーゼとしての活性を有していることが示された。APN-1タンパク質がAPエンドヌクレアーゼであることは大腸菌xth nfo欠損株のH2O2およびMMSに対する感受性がAPN-1タンパク質の発現により相補されたという実験結果からも裏付けられた。次に私たちはAPN-1タンパク質の線虫個体内における機能を調べるため、フィーディングRNAiによるapn-1遺伝子のノックダウンの影響を調べた。apn-1遺伝子のノックダウンによる線虫のH2O2などの薬剤に対する感受性の変化や寿命に及ぼす影響などを現在調べており、これらの結果もあわせて報告する。
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© 2009 日本放射線影響学会
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