日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第52回大会
セッションID: OB-5
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放射線治療2
メダカにおける放射線照射後の破骨細胞におよぼす影響
*澤尻 昌彦野村 雄二滝波 修一丸山 耕一谷本 啓二
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抄録
序言
最近の生物学的分析の結果、medaka (メダカ)は、様々な疾患の遺伝的背景が推論される動物実験モデルとして注目されている。メダカに対する炭素イオンあるいはガンマ線放射線照射が咽頭歯骨における破骨細胞生成に及ぼす影響を調査した。同様に破骨細胞の誘導因子であるRANKLとその拮抗因子であるOPG調査した。
材料、及び、方法
メダカの全身に15, 30, 45 Gyの炭素粒子線または、ガンマ線を照射した。咽頭歯骨における破骨細胞生成は、組織学的に解析された。組織化学的分析は、破骨細胞のマーカーであるTRAP活性の活性を計測し、RANKL, OPG局在を分析するために免疫染色を行い、メチルグリーンで対向染色を行った。
結果
炭素粒子線あるいはガンマ線照射されたメダカのいずれの咽頭歯骨も、高いTRAP活性を示したが5日目まで、同線量照射されたものでは有意差は見られなかった。7日後ではコントロールに比べ炭素粒子線照射メダカのTARP活性が高く、ガンマ線照射メダカにおいては更に高い。RANKL の局在は、ガンマ線照射後の medaka の咽頭歯骨で歯牙に隣接する部位で発現が見られ、OPGは炭素粒子線照射されたmedakaにおける同様の歯牙に隣接する部位で認められた。
結論
破骨細胞のTRAP活性は、放射線照射と共に増加した。またガンマ線照射より炭素イオン放射線照射メダカの方が増強された。非照射、炭素イオン照射メダカよりも増加したことは、咽頭の骨の吸収を増加して、ガンマ,放射線照射が破骨細胞活性を刺激することを示唆する。炭素イオン放射線照射は、破骨細胞活性に対して異なる影響を与えることが考えられた。そこで、RANKL, OPGの発現を調査したところ、ガンマ線と炭素粒子線症では異なる結果が得られた。これから、炭素粒子線照射が破骨細胞成長因子の発現においてガンマ線とは異なることが示された。
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© 2009 日本放射線影響学会
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