日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第53回大会
セッションID: OA-1-5
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A DNA損傷・修復
真核生物における酸化ストレス防御遺伝子(OXR1)の突然変異抑制機構
*秋山(張) 秋梅橋口 一成浅井 翔太中村 允耶真田 悠生
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抄録
酸化は、生体や細胞にとって最大の脅威であって,その原因となる活性酸素は電離放射線、化学物質など細胞外の環境要因によって生じるとともに好気的代謝に伴って自然にも発生する。DNA,タンパク質や脂質など生体分子の酸化は活性酸素によって引き起こられる。適切な防御が行われないと,DNA の酸化は突然変異、細胞死や発がん,老化の促進などの生理学的な変化を招く。このような酸化ストレスの防御のため,細胞には、活性酸素生成の抑制,消去,酸化された分子の再還元と損傷分子、特にDNA修復システムが備わっている。本研究は,真核生物において機能が未同定の酸化ストレス抵抗性遺伝子Oxidation resistance-1(oxr-1) gene 1の突然変異抑制、ストレス防御機構について酵母、線虫、ヒト培養細胞を用いて解析を行った。私たちは、1)ヒト細胞と線虫(C. elegans)のOXR1ホモログのクローニングに成功した。両者とも大腸菌変異株mutMmutYの突然変異に対して抑制する効果があることが分かった。2)酵母のoxr1欠損株は過酸化水素、MMSに高い感受性を示した。また自然突然変異率も増大した。3)ヒト細胞のOXR1の発現は過酸化水素,MMSで誘導されることが分かった。4)oxr-1を欠損する線虫の変異株では,野生株に比べて寿命は約10_%_短くなっており,このタンパク質が老化の制御で重要な役割を果たしていることが示唆された。更に線虫の欠損株の性質,OXR1と他の酸化防御タンパク質、DNA修復因子の変異との二重変異株を作成し、それらの表現型解析の結果についてもあわせて報告する。
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© 2010 日本放射線影響学会
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