日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第53回大会
セッションID: OH-1-4
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H 放射線物理・科学
富士山頂における放射線測定装置の特性評価
*保田 浩志矢島 千秋松沢 孝男
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抄録
加速器施設や高高度での飛行においてGeVオーダーに及ぶエネルギーの高い放射線に被ばくする機会が増えてきた。そうした粒子による被ばくが生体に与える影響には大きな不確かさがあり、更なる知見の集積が必要である。高エネルギーの輸送をモデル計算だけで正確に予測することは難しく、信頼性の高い線量評価の為に実測による検証は不可欠である。その検証には広いエネルギー範囲にわたる応答特性の明らかな測定装置が必要だが、GeVオーダーに及ぶ広いエネルギー範囲の粒子を網羅的に照射できる照射場は見当たらない。そこで、我々は、日本で最も標高の高い富士山の山頂(高度3,776m; N 35.36°, E138.73°)にある施設を利用して放射線測定装置の特性評価を行うことを考案、2009年夏季に約一ヶ月の測定を実施して、その利用可能性について検討した。本報では、提案した方法の有用性を示す事例として、エネルギー応答関数の異なる2つの減速材付中性子モニタ(NCN1及びWENDI-II)による測定結果を示す。モデル計算との比較では、拡張エネルギー型の中性子モニタ(WENDI-II)は広範なエネルギー範囲を持つ宇宙線に対して適切な応答を示した。一方、コンベンショナルなサーベイメータ型中性子モニタ(NCN1)の応答は予測よりも小さく、その差異の要因について検討を行っている。
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© 2010 日本放射線影響学会
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