日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第53回大会
セッションID: PA-36
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A DNA損傷・修復
DNA損傷応答におけるヒストンH2AZダイナミクスのin vivo解析
*西淵 いくの島 弘季井倉 正枝井倉 毅田代 聡
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抄録
放射線などによるDNA二本鎖切断(DSBs)の修復には、損傷クロマチンの構造変換が重要な役割を果たしていると考えられているが、その詳細は不明である。これまでクロマチン構造変換機構としてヒストン修飾酵素によるヒストンテールの翻訳後修飾、クロマチン構造変換因子によるヌクレオソーム移動あるいはヒストンシャペロンによるヒストン交換反応などが知られている。最近、これらの変換機構に加え、ヒストンバリアントの交換反応も新たなクロマチン構造変換機構として注目を浴びてきている。
我々は、ヒストンH2AバリアントであるヒストンH2AZに着目し、クロマチン構造変換機構と DNA修復機構との関わりを明らかにすることを目的としている。最近、出芽酵母でDNA修復タンパク質RAD51とヒストンバリアントH2AZのDSB部位周辺への一時的な沈着がDSBsの固定や損傷応答機構の活性化に関わっている可能性が報告された。しかしながらヒト H2AZの損傷クロマチンにおける役割はこれまで明らかにされていない。そこで我々は、ヒトH2AZがDSBs修復に関わっているかどうかを調べるため、UVレーザーマイクロ照射法によってDSBs導入時のH2AZの挙動を調べたところ、DSBs部位のH2AZがクロマチンから放出されることが明らかになった。このことから、ヒトH2AZは損傷部位のクロマチンの構造を変換し、DSBs修復初期過程に何らかの関与を持つことが示唆された。
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© 2010 日本放射線影響学会
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