日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第53回大会
セッションID: PA-37
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A DNA損傷・修復
線虫における酸化ヌクレオチド分解機構の研究
*真田 悠生西川 陽貴橋口 一成秋山(張) 秋梅
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抄録
活性酸素種(ROS)は、ヌクレオチドプール中で8-oxo-dGTPや8-oxo-dGDPなどのような酸化ヌクレオチドを発生させる。8-oxo-dGTPは、dGTPの直接的な酸化や、8-oxo-dGDPのリン酸化によって形成される。そして、これは時として複製の過程によってDNAに取り込まれ、突然変異を誘発しうる。多くの生物はDNA中の損傷を修復する酵素もさることながら、このような異常なヌクレオチドを除去する酵素を持っており、例えばE. coli MutTやhuman MTH1はこの8-oxo-dGTPを、MutTやhuman NUDT5は8-oxo-dGDPを加水分解し、プール中から除去する。しかし,線虫C. elegansではこういった酵素のホモログは現在見つかっていない。C. elegansでプールを浄化している機構,およびその機構がゲノム安定性においてどのような役割をしているかを解明するため, 我々はC. elegansにおけるMutTホモログの研究を行ってきており、最近NDX-1タンパク質が8-oxo-dGDPを分解する活性をもつことを明らかにした。8-oxo-dGDP分解酵素がC. elegansで見つかったものの、8-oxo-dGTP分解酵素は未だ同定されていない。C. elegansにおいてもdGTPの直接酸化などの8-oxo-dGTPの産生経路が考えられるから、8-oxo-dGTPの取り込みを防ぐという観点にたった際に8-oxo-dGDPのリン酸化を抑制する役割が示唆されるNDX-1のみで十分であるとはとても考えにくく、プール中の8-oxo-dGTPを除去するなんらかの機構が存在するはずである。我々はその機構を担う酵素について調べており、その研究経過の報告を行う。
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© 2010 日本放射線影響学会
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