日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第53回大会
セッションID: PE-17
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E 放射線治療・修飾
マウス悪性腫瘍組織内の血流及び硼素化合物分布における血管新生抑制剤(Avastin)の影響
*劉 勇鈴木 実菓子野 元郎増永 慎一郎CHEN Yi-Wei木梨 友子田中 浩基櫻井 良憲丸橋 晃近藤 夏子切畑 光統小野 公二
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抄録
悪性腫瘍組織内のホウ素の分布はホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の効果を左右する因子である。しかし、腫瘍血管は異常で、硼素化合物を癌細胞へデリバリするのは困難になる。一方で、血管新生抑制剤は腫瘍血管新生への影響が報告された。そこで、本研究では血管新生抑制剤による硼素化合物の腫瘍分布の影響を検討した。The human squamous cell carcinoma細胞(SAS)、human malignant glioblastoma cells(U87-MG)細胞を用いた。BPA (p-boronophenylalanine)を培地に加え、数段階の濃度とし、1時間培養した後、抗BPAモノクローナル抗体によって、免疫蛍光染色を行った。蛍光強度とBPAの濃度の関係を調べた。In vivoで、担癌マウスに、Avastin (10 mg/kg, i.p.)を投与し、また2日、7日後のサンプリング前の1時間にBPA ( 250 mg/kg, i.p.)を投与し、1時間後に腫瘍組織を取った。腫瘍組織内の硼素濃度を即発ガンマ線分析装置(PGA)で調べた。腫瘍内の血流及びBPAの分布を、Hoechst 33342(16 mg/kg, i.v.)まだBPA免疫蛍光染色よって検討した。培養細胞の蛍光強度を測定すると、BPA濃度に応じて蛍光強度は増加することも分かった。Avastin処理の2日後に腫瘍内の硼素濃度は増加することが分かった。蛍光染色によって、Hoechst及びBPAの腫瘍内の分布がよくなった、しかしAvastin処理なし対照マウスと比べて、腫瘍サイズの顕著な変化を見つけなかった。血管新生抑制剤はある期間でマウス悪性腫瘍組織内のホウ素化合物分布を増強することが確認された。血管新生抑制剤による腫瘍血管まだ腫瘍環境の変化はこの影響の一因と考える。
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© 2010 日本放射線影響学会
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