抄録
近年、生物現象を動的なシステムとして捉えようと試みるシステム生物学が、放射線生物学において注目されている。システム生物学では、分子生物学者だけではなく、情報工学、制御工学、複雑系物理、数理生物など、システムとして理解するために様々な分野の研究者が分野の垣根を越えて総合的に研究を行うことが必要であるといわれている。2007年より4回開催された国際システム放射線生物学ワークショップにおいても、放射線生物学、バイオインフォマティクス、疫学、数理モデル、進化生物、発生生物などの専門が異なる研究者が参加しており、講演内容は多彩である。従って、システム放射線生物学の現状を知るには、国際ワークショップの講演内容を知ることが最も手っ取り早いであろう。
そこで本講演では、ワークショップの導入として、国際システム放射線生物学ワークショップの報告を中心に、システム放射線生物学の現状を簡単に紹介する。