日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第54回大会
セッションID: PA-19
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A DNA損傷・修復
高線量域でのDNA二本鎖切断再結合におけるATMの役割
*井原 誠小林 純也栗政 明弘小松 賢志工藤 崇
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キーワード: ATM, DNA 二本鎖切断, 修復
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抄録
 細胞の放射線感受性はDNA二本鎖切断修復の欠損あるいは誤修復の昂進が原因と考えられる。DNA二本鎖切断は相同組換え修復(HR)と2種類の非相同末端結合(NHEJ)の二つの修復系によって主に修復される。哺乳動物では放射線誘発DNA二本鎖切断の修復では非相同末端結合が優勢である.非相同末端結合を阻害すると相同組換え修復が亢進する事が知られている。  相同組換え修復にはATMが関与していることが知られている。我々は、ATMのDNA二本鎖切断再結合における働きをKu蛋白欠失による非相同末端結合能欠損STEF細胞と53BP1をRNAiによるノックダウンしたSTEF細胞を用いて解析した。  これらの細胞に対する放射線の照射線量を高くすると、生存率曲線に放射線抵抗性の成分が見られた。この放射線抵抗性成分はATM阻害剤を作用させると減少した。この事は高線量照射を受けた細胞の修復に特異的にATMが働いている事を示している。実際、高線量照射ではATMが活性化されることをウエスタンブロットで明らかにした。現在、レポーター遺伝子を用いた相同組換え能測定およびI-SceI誘導DNA二本鎖切断修復について解析を進めている。
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© 2011 日本放射線影響学会
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